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「ふうん。ひどい奴だねえ」
と、徳次は足を踏ん張つたまゝ今泉に云ひかけた。こんなに彼の方から話しかけるなんてことは滅多になかつたので、よほど虫のいどころがよかつたのだらうが、それでもいつものあの愚弄するやうな色は争はれなかつた。
第四章
「失礼ですが、もしか、あなたは高間さんではありませんか」
「いやあ、全く」
房一の竿に最初のやつが掛つた。
「わたしやア――」
見たことのない顔だつた。患者なら玄関から来る筈だ。
自動車が動き出した時、練吉は唇のはしをびりびりさせ、あの切れ目の顔に何かしら水をかけられたやうな表情になりながら、
「よし。――さうしとかう」
房一は話を変へた。
稍意地の悪い、きびしい調子であつた。
房一は大きくうなづいて見せた。もう獲物は大分前からとまつていた。